6月18日 木曜日

職場の排水溝の水切りネットを捨てようとしたら、ネットのなかにいる、なにか生きものと目が合った気がした。なかを覗いたのはほんの一瞬だった。「でもいま確実になにかいた、なにかわかんないけどなかになんかいた」という好奇心と「生きものなわけない、何と見間違えたんだろう」との楽観のふたつに背中を押されて、おそるおそる再度なかを覗き込む。するとやはりヤモリのつぶらな瞳と目が合った。ひっ、と声が出るかと思ったけど出なかった。そこは職場で、ほかのひとは仕事の話をしたり電話を取ったりしていたので声は出さなかった。黙ってそのままネットの口を縛って捨てた。ヤモリが生きていたかどうかまではわからなかった。