11月11日 すずきあやねちゃん

絢音ちゃんの写真集、とてもいい。

 

写真集をみる前に、モデルプレスのインタビューで絢音ちゃん本人が「ゼミ旅行でタヒチに来た同級生の男の子が、好きだけど普段は近づけない女の子を覗き見してる、という設定」と言っているのを先に読んでしまっていた。それで期待値がちょっと下がったのが、かえってよかったかもしれない。好きな女の子を覗き見、っていうのはなんとなく写真集の設定としてはさほど目新しくなさそうだし、覗き見、覗き見かあ……というなんとなくの嫌悪感というか申し訳なさというか、うしろめたい印象を持ったんだけど、思ってたのとちがった。

 

たしかに横顔だったり、本を読んでいたり、盗み見ているのがわかるような無防備な姿の写真もたくさんある。けど当然ぜんぶじゃない。カメラを見ている写真もある。このカメラ目線にこわさとか底知れなさを感じる。絶対に気づかれない場所から見ているはずなのに目が合う、みたいなこわさ。あなたに見られていることを私は知っていますよ、という牽制に、狂気を感じる。

無防備で隙のある写真と意識的に見せている写真、その中間の「みつかっちゃった」瞬間の写真、どれも自然で気負っていなくて、あざとさや媚びのない、被写体として見られることに対する絢音ちゃんのスタンスの確かさと曖昧さがどちらも感じられる不思議な写真集。

好きなひとのてのひらで転がされてるあの感じ、っていうとチープかもしれないけど、でも本当にそれ。絢音ちゃんでも、あんな行儀のよくない姿勢で本を読んだりするんだ……とか、脱ぎ捨てた服をそのままにしてて意外とだらしないんだな……とか、そういうの、好きじゃん……好きです。あとやっぱり眼鏡が好き。似合う。かわいい。